某大手出版社の倒産に見る出版の収益構造

suzunoです。

半年ぐらいご無沙汰してしまいましたが、
実は同業他社に転職をしていました。

このブログのとおり「あと一歩」で編集長も夢ではなかったのですが
果たして名前だけの編集長でいいのか?
お前はまだまだ未熟者ではないのか?
編集長というポジションに安穏とし、出版業界全体を変えなくていいのか?

などなど、考えていくうちに
まだ若手なのに、チャレンジしなくてどうする!と自分を鼓舞して
新しいフィールドを目指すことにしました。

同じく出版関係なので、このブログは続けてやっていこうと思いますが
「あと一歩」で編集長にはなれそうにないので、ブログ名をかえようと思いますので乞うご期待ください。

さて、タイトルはこちらの記事からの考察です。

インフォレストが事業停止 「小悪魔ageha」「おとなのWindows」などの出版社

「小悪魔ageha」は当時一世を風靡しギャル雑誌。
全面ホログラムの表紙に度肝を抜かれるような、印刷費いくらかかってるんだろー、
売れる雑誌は違うなーと
言わざるを得なかったことを記憶しています。

出版社なので、1誌だけ儲かっていればいいというわけではないのですが、
なぜ倒産まで追いやられたのか??

帝国データバンクから引用するとこのような背景になります。
———————–
景気低迷下で広告収入も減少、2010年3月期の年売上高は約68億300万円に落ち込んでいた。
また、同時期に親会社が変更されてからは、代表者の交代や本社不動産の売却、
従業員の削減などリストラを進める一方、組織再編を進め経営の効率化を図っていた。
しかし、その後も売り上げの減少が続き2012年3月期は年売上高約43億7900万円にダウン、
資金繰りも厳しさを増していたことで信用が低下。
ここにきて資金繰りが限界となり、今回の事態となった。
———————–

が、ここでわかりますか??
出版社の雑誌収益構造のもろさが。
売り上げと利益を出すには、「広告」と「想定部数」を確保をするしかなく、
それが予算割れしてしまうと一気に赤字に転落してしまうのです。
では部数を削ればいいじゃないかというかもしれませんが、
部数を削れば利益率は当然下がるので、そう簡単にはいきません。
反対に営業をかけて売ればいいじゃないか?と考えると思いますが
出版の体質的に購入者への営業はなかなかしにくいの特徴です。

またここで、人員削減などをされたようですが、
ただの「人件費」と思って、人を削るのは逆効果です。
社員が少ない会社で、会社を立て直すことなんて不可能です。
これはヤマト運輸(現:ヤマトホールディングス)の2代目社長の方も同じことを言っています。
そもそも負債は30億円ともいわれているので、人件費で解決できる問題ではないですよね。

この倒産は何を示しているか?
私は、雑誌の収益モデルの終焉を意味しているのだと思います。
(書籍は少し収益モデルが違うので、ここでは「雑誌」のみに限定します)
コンテンツを1媒体にあつめて広告をつけて、雑誌を売るだけの時代は終わったのです。
今はコンテンツを切り売りしていく時代。
LINEの成功にみるように、スタンプ、ゲームアプリ、カメラフレームなど
大きなプラットフォームの中で、コンテンツの切り売りが生き残る道なのではないでしょうか??
そこにはバブルのような、大きな収益はありません。
なるべくハード費を抑えて、
コツコツと日銭をかせぐような体質に変わっていく必要があるのでしょう。

「小悪魔ageha」が一時代のブームを作り、
多くの女の子たちの救い、憧れとなった功績はかなり評価できるものです。
雑誌を売るだけでなく、この市場のなかで、ネットやほかのメディアと連動しながら
コンテンツを切り売りできれば十分に生き残れたかもしれません。

収益モデルの提案よりも変わるべきは
出版経営陣と編集者自身なのかもしれませんね。







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